虹色アゲハ
仕事を終えて、待ち合わせ場所に向かうと…
停まっていたレクサスは、確かにレンタカーではなく。

揚羽は車体とナンバーを、忍ばせてた隠しカメラに収めると。
久保井のエスコートで、その助手席に乗り込んだ。


「どこ行くっ?
県外まで行っちゃう?」

「冗談でしょ。
仕事帰りで疲れてるのよ?
30分だけ付き合ってあげる」

やたらと浮かれてる久保井を、ばっさり切り捨てると。

「…え、それで帰すと思ってんだ?」
打って変わって、冷ややかな口調が返される。


「…どうするつもり?」

「そりゃあ、密室に2人切りだし…
この前の続きとか?」

「呆れた…
それしか手がないの?
だいたい、そんな事で落ちると思う?」

「やってみる価値はあるよ。
みんなそれでイチコロだし。
揚羽ちゃんの事も、めちゃくちゃ気持ち良くしてあげるよ?」

「けっこうよ。
そんな事したら訴えてやるから」
強気で跳ね除けながらも。

内心は焦っていて…


「揚羽ちゃんに訴えられるなら本望だよ」
その言葉と同時、車が路肩に停車した。
< 158 / 268 >

この作品をシェア

pagetop