虹色アゲハ
「お前らにいくら払うと思ってんだ?
基礎知識と高速タイピングだけでいいから、死ぬ気で身に付けろ。
あとは俺が処理するし、お前用の検索ツールも作っとくよ」

「そんなんで誤魔化せんのか?」

「心配ない、彼女も一匹狼タイプだ。
ほとんど干渉してこないだろう。
もし目の前で作業する事になっても、その検索ツールである程度なんとかなるし。
無理なら理由をつけて、調べとくってかわせばいい。
あと俺の手が空いてたら、これで指示するからその通りにやればいい」
と、ワイヤレスイヤホンを露呈した。


「それでバディを組んだら、GPSで常に彼女の動向を見守ってもらう」

「常に?
そこまでする必要あんのかよ。
そんな事したって守れるとは限らねぇし、そんな仕事じゃ危険は避けて通れねぇだろ」

「それでも。
出来る全てで守りたいんだよ」

「…そこまでそのオンナが大事なのかよ」

「大事だよ。
人生で唯一。
だから、もし手ぇ出したら…
お前もお前の女も殺す」

もちろん脅しだったが…
長年危険な世界で生きてきた男のそれは、本気と思わせるには充分だった。
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