虹色アゲハ
その時仁希は、ちょうどリアルタイムで聴いていて。
嫉妬で邪魔したのもそうだが…
これ以上2人が親密になったら、作戦に響くと考え。
〈部屋には行くな〉と指示したのだった。

「はは、邪魔して悪かったな。
けどそれ考えたら、あの男とくっついてる方がマシかもな」

つまり倫太郎より鷹巨を相手にした方が、まだ勝算があると踏んだのだ。


「どーゆう意味だよ。
アイツがあの男と付き合ってても平気なのか?」

「まさかっ。
あんな電話の様子聴かされたんじゃ、意地でも妨害するよ」

「それで今日来たのかっ?」

「だって悔しいと思わないか?
人生って不平等だなって。
ずっと望を大事に守って来たのは、俺らなのに。
望の幸せのために、身を引いてるだけなのに。
どんなに想ってても、死ぬほど愛してても…
望なしの人生なんか生きていけないくらいでも!
おいしいとこだけ横取りしてるヤツに、好きにされてんのを…
指くわえて見守る事しか出来ないなんて」


仁希はそれと似たような気持ちを、ずっと倫太郎にも抱いてきた。

だけど倫太郎は自分の気持ちを押し殺して、約束通り決して望に手を出さなかったため。
いつしか同じ気持ちを抱く戦友のように思えていたのだった。
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