虹色アゲハ
それでも望と接触してからは、やきもちを抑えられない時もあった。

例えば、心配される倫太郎が羨ましくて…
自分なんかが心配されるわけがないと思いながらも、怪我したフリして来店したり。
他にも色々と…

そんな馬鹿な事をしてしまうほど、これまでずっと苦しんできたのだ。


だんだん惹かれ合っていく望と倫太郎に、胸が数え切れないほど切り刻まれて…
でもその状況を作ったのは自分で。
ただただ見守る事しか出来なくて。
狂いそうなほど自分の運命を恨んで。
苦しくて苦しくて、吐くほど苦しんで。
心が死にそうなほど、のたうちまわって。

それでも望の幸せを優先してきたのだった。


「やっぱりオマエ、死ぬ気なんじゃ…」

望なしの人生なんか生きていけないという言葉に、疑惑が確信のようなものに変わる。

「死ぬ気っ?
どんな妄想してんだよ、お前厨二病だったのか〜」

「茶化すなよ!
バディだと思ってんなら、ほんとの事言えよ。
じゃねぇと、計画には協力しねぇ」


すると仁希は、ふぅと溜息を吐き出して。

「まぁ確かに、最初はそうだったよ。
俺にとって望はさ、生きる希望だったんだ」
観念した様子で語り始めた。
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