虹色アゲハ
「ドス黒くて汚い世界に放り込まれて…
死んだ方がマシだって思いながら、毎日やり過ごしてた時。
望と出会って、一緒に過ごして、初めて生きたいって思えたんだ。

だけどその希望を断たれて…
それでも組織で上り詰めれば、いつか自由になれんじゃないかって。
必死に頑張ってきたのに、それが無理だってわかって…
もう生きてたくないって思ったんだ。
望と生きられない未来なら、要らないって。

でも死ぬ前に、望に一目会いたくて…
寝る間も惜しんで捜したのに、全然見つかんなくて。
1年かかってようやく見つけたら、俺のせいで詐欺師になってるし。
だから最後に、望の役に立って死のうって決めたんだ。

なのに人間って、欲深い生き物だよなっ。
いざ望と関わったら、また生きたくなって…
だから余計な心配はするなっ?」
しんみりした空気が、そう笑い飛ばされた。

でも倫太郎は、どこか腑に落ちないままで…


さらにその夜、仁希の妨害が失敗に終わり。

倫太郎は、立ち直れないほど傷つけ合った2人に…
遣る瀬ない思いで耐えられなくなる。


そして仁希も…
失敗を逆手に取って、駆け引きの引きに移ったものの。
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