虹色アゲハ
「よくゆうよ…
まだ隠してる事があんだろ」

「また妄想か?」

「いやよく考えたらおかしいだろっ。
アイツと関わってまた生きたいって思ったんなら、一生関わらないってのはその逆になんだろっ」

それも、計画を邪魔した理由だった。


「へぇ〜、そこは頭が働いたんだ?」

「っざけんなよ!
これ以上邪魔されたくなかったら、全部話せよ」

「話しても邪魔するくせに…
お前ってほんと、クソ生意気なガキだよな」

でも倫太郎がそこまで反抗するのは、それほど心配しているからだと分かっていた仁希は…
言葉とは裏腹に、胸を詰まらせていた。


「けど、どうせ邪魔されるなら話してやるよ」

そう、自分の罪にするという事は…
仁希が元締めだという証拠を残すという事で。
望の存在を隠すために、他の詐欺師の罪も同様に被るとなると…
警察に目を付けられる可能性が高くなる。

なぜなら他の詐欺師は一般人をターゲットとしているため、被害者が訴える可能性が高いからだ。
そうなれば組織は秘密が漏れるのを恐れ、仁希を処分しかねないのだ。

「だから、この件が片付いたら海外に逃亡しようと思ってる。
一生関わらないって言ったのは、もう日本に戻って来ないからだ」
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