契約結婚!一発逆転マニュアル♡
自分の仕事とお客様が守れるのならば、使える後ろ盾は何でも使う。

「あなた方が私に嫌がらせをしている時間も、私がそのせいで閉じ込められたり探し物をしたりしている時間も、お給料発生してるんですよ?それ、誰が支払ってるかご存じですか?」

全てにおいて高圧的に。

「私の義理の父です」

確実にマウントを取って。

「査定は今、私の夫がしてるって、ご存じありません?」

本当のところは依舞稀自身も知らないが、依舞稀が知らないということは、他の社員も知らないということ。

ならばどれだけ『妻』が強気に出ても、大した問題ではない。

彩葉は何一つ言い返す事もできないのか、真っ赤なルージュを引いた下唇をギュッと噛み締めて依舞稀を睨みつけている。

千里に至っては完全に脅え、胸元で手を握りしめて震えているではないか。

よし、千里は攻略完了だ。

千里からこの話を聞いた渚もほぼ間違いなく攻略できるだろう。

あとは……。

「今後、こんな陰険なことをしないと約束してくれるなら、何事もなかったように穏便に済ませます。いいですね?」

依舞稀の言葉の力強さは、『お前に選択肢はないのだ』と言っているようだ。

余程悔しいのか、彩葉は返事をすることもできずに握り拳を震わせている。

「あ、でも」

わざとらしくそう言うと、彩葉は眉をピクリと上げた。

「今回のようにお客様にご迷惑がかかるようなことは絶対に許せません。これを最後にしてください」

暗に次はないということを意味している。

それをちゃんと理解すれば、心無い謝罪の言葉など必要ない。

言うだけ言って、依舞稀は二人に背を向けて戻っていった。

彩葉はその依舞稀の後姿を恐ろしい形相で射抜きながら、一言小さく呟いた。

「覚えてなさいよ……」

と。
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