契約結婚!一発逆転マニュアル♡
遥翔が副社長に就任してからは、今度は自分の娘である彩葉との縁談をしきりに持ち出すようになったのだ。

しかし全く相手にしないどころか、突然他の女と結婚した遥翔をよく思っているはずがない。

それもあって、遥翔も今回のこの件にどう関わるか、機会をうかがっていたのだ。

依舞稀の仕事がしやすいように。

これ以上、自分と結婚したせいで好奇の目に晒されないように。

円滑に解決する術を探すべく、八神と策を弄していたというわけだ。

「俺に甘えず、全てを自分で解決しようとする依舞稀には恐れ入ったが、女の嫉妬が簡単に沈下するとも考えにくい」

嫉妬という感情は、行きつくところまで行くと、もう引き返すことなどできない。

行きついてしまえば、次は堀進めて行くしかないほど、人間特有の止まらない感情である。

そんな醜いと言える感情が、依舞稀の言葉で消えるだろうか?

「何事もないに越したことはないが。また何かあれば報告してくれ。俺も依舞稀と話してみる」

「おまかせください」

無事に一区切りついた今なら、依舞稀も自分に話してくれるかもしれない。

今日家に帰ったら、依舞稀と少し話をしてみよう。

遥翔はそう考えて依舞稀にスマホからメッセージを送った。

『今日は定時で帰れそうか?』

依舞稀からの返信は、すぐに届いた。

『今日は仕事の進みが早いので大丈夫です』

彩葉とのことが解決し、依舞稀も余計な事を考えずに仕事に集中できているのだろう。

『地下駐車場で待ってる』

遥翔のメッセージは既読になったが、依舞稀からの返信はなかった。
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