契約結婚!一発逆転マニュアル♡
2日後。

喪服を着た依舞稀は、立派な祭壇に飾られた両親の写真をぼんやりと眺めていた。

突如訪れた両親の死。

こんな形で迎えようとは思ってもみなかった。

心の整理が追いつかない依舞稀は、まだ悲しむという気持ちにすらなれない。

二日前レストランで受けた電話は、両親が交通事故にあったという連絡だった。

依舞稀がタクシーで向かった先は総合病院で、到着するなり直ぐに霊安室へと通された。

白いシーツを掛けられた二人を目にしても、状況が把握できない。

恐る恐るシーツを捲ると、2人並んだ遺体を目にしてしまった。

依舞稀はショックで気を失い、目を覚ました病院のベッドで両親の事故の原因を聞かされたのだ。

待ち合わせのレストランに向かう最中の山道で、突然飛び出してきたであろう猫を避けようとした際にスリップし、岸壁にぶつかったのだという。

父親は即死であった。

何とか意識のあった母親の通報で警察と消防が到着したのだが、病院に運ばれてすぐに息を引き取ったらしい。

唯一の救いは、猫は無事に保護されたということであろうか。

本当ならば、それは喜ばしいことなのかもしれない。

しかし依舞稀にとっては微塵も嬉しいことではなかった。

「本当にいなくなっちゃったの……?」

写真に問いかけても、二人からの返事が返ってこない。

その現実が次第に依舞稀に重くのしかかり、現実を知らしめるのだった。
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