契約結婚!一発逆転マニュアル♡
依舞稀と遥翔が結婚してから半年が経とうとしていた。

最初こそ大きな問題が次々と二人を襲い、大変な思いをしていた依舞稀だったが、その度に遥翔が大きな手を差し伸べてくれた。

いつでも堂々としていて、何事にも冷静沈着に解決する遥翔を、依舞稀は心底敬愛していた。

しかし、だ。

本当のことを言えば遥翔とて、本当に動じていないわけではない。

内心ハラハラしていたし、怒りで発狂しそうになったことだってある。

そんな遥翔の感情をなんとか抑え込む事ができていたのは、依舞稀に良いところを見せたい。

それだけだ。

依舞稀のいないところで感情を爆発させ、八神に呆れられ諭され、丸め込まれて今がある。

彼には本当に感謝しかない。

遥翔のカリスマ性と統率力、八神の戦略を掛け合わせて、二人は数々の偉業を成し遂げ、業界でも一目置かれる存在になったといっても過言ではないだろう。

八神もまた、遥翔に尽くそうと決めていた。

何があってもどんなことがあっても、遥翔と依舞稀を盛り立てて支えていく。

その気持ちに嘘偽りはないのだけれど……。

「……本当は全部通したいんだよ、依舞稀の企画は。俺、なんで副社長なんだろうな……。そうもいかない立場なんて辛すぎるだろ……」

そんなことを言いながら溜め息を漏らす遥翔に、『アホか』と頭を抱えたくなるのも。

『マジでブッ飛ばしたい』と思うことも素直な感情なのだ。
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