契約結婚!一発逆転マニュアル♡
確かに間違いなく初めはお互い利害一致の結婚だったからだ。

遥翔は今の自分の気持ちをどう言葉にするべきか頭を悩ませたが、ある考えにたどり着いたとき、ふと笑みを漏らした。

「確かにそういわれても仕方がないと思う。俺自身も最初は自分の利のために依舞稀を利用しようと考えた」

遥翔もさることながら、これに対しては依舞稀も全く同じ気持であった。

全てにおいて結婚を断る術を持ち合わせていなかった依舞稀にとって、遥翔との結婚は割り切ったものになると思っていたからだ。

「だけどな、結婚するにあたって依舞稀のことを知れば知るほど、俺の中で依舞稀の存在が驚くほどに大きくなっていったんだ。最終的には社長就任のための結婚なんてどうでもよくなるほどに」

それを理由付けに依舞稀との結婚を望んだが、遥翔本人的には社長に就任することよりも依舞稀と結婚することに目標がシフトチェンジしたのだ。

それは本能的に依舞稀も感じることとなった。

愛情の欠片もないと思っていたプロポーズに、はっきりと自分への愛情を感じ取れたからこそ、依舞稀も遥翔との結婚を承諾したのだ。

「親父、俺……」

遥翔の話を黙って聞く誠之助に、遥翔は意を決したように真っすぐな視線を向けた。

「社長就任はしなくてもいいと思ってる」

「!?」

遥翔の予想だにしない言葉に、誠之助だけではなく依舞稀までも言葉を失った。
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