契約結婚!一発逆転マニュアル♡
誠之助はゆっくりと首を振った。

「依舞稀さん本人との面識は一度もなかった。しかし緒方医師は本当に愛妻家で子煩悩な人でね。いつも依舞稀さんのことを話してくれていたんだ。それはもう、私が止めないと終わらないくらいにね」

娘のこととなると本当にデレデレになる緒方医師を見るのは本当に楽しかった。

あまりに毎回聞かせてくれるものだから、いつの間にか誠之助もまるでこの手に抱いたことがあるかのような、そんな親近感を感じていたのだ。

そんな依舞稀がまさかホテルキリガヤに就職しているとは驚きだった。

これはやはり運命だと誠之助は思ったのだ。

緒方医師が自分と依舞稀を引き合わせてくれたに違いないと。

「その依舞稀さんの現状を知って、いたたまれなくなったよ。どうにかしなければと思った」

全てを自分が解決してやることは可能であったし、それが一番手っ取り早いこともわかっていた。

しかし遥翔のことが大きな気掛かりになっていた誠之助にとって、掛けてみたい妙案が浮かんだのだ。

「遥翔と依舞稀さんを引き合わせたい。私はそう思ったんだよ」

誠之助が調べた依舞稀は、緒方医師から聞かされていたままの、器量、性格ともによい、最高の女性だった。

依舞稀と遥翔はどちらかともなく視線を合わせ、手を握る。

「遥翔に社長就任の条件を告げたのち、寿弥に依舞稀さんのいるクラブに遥翔を連れて行くように頼んだのは……私なんだ」

二人の出会いは運命ではなかった。

巧妙に練られた作戦の後に作り出されたものだったのだ。
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