出逢いがしらに恋をして
「いえ。ただ、その次の日が誕生日なので、つい反応してしまって」

「へえ、そうなんだ。じゃあ、何かプレゼントしなきゃね」

「えっ? そんな、いいです。そんなつもりで言ったわけじゃ……」

 ぶんぶんと頭を振りすぎて、一瞬くらっときた。

 その様子を見て、宮沢さんはぷっと吹き出した。

「遠慮するなって。今回の無茶ぶりのお詫びもかねてね」


  そして次の瞬間。

 宮沢さんの手が伸びてきて、わたしの頭をポンポンと叩いた。

 幼い子をあやすような手つきで。

 とても優しく。

 彼が触れた部分がじわじわと熱を持ってくる。

 わたしは彼をゆっくり見上げた。
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