出逢いがしらに恋をして
「えっ?」

 と声を上げると、宮沢さんはわたしの肩を両手でつかんで、じっと顔を見つめてきた。

「ちょっと待って。おれがいつ、亜矢美さんと付き合ったって?」

「違うんですか?」

 宮沢さんは少しの間、きょとんとした表情をして、それから、思いっきり吹き出した。

「それだったら、なんできみに告白なんてするんだよ。俺はそんな不実な男じゃないよ」

彼はまだ、おかしくてたまらないように、肩を震わせている。

それから、言った。

「どうも、お互い誤解してたみたいだね。ゆっくり話そう。
今日のプレゼンの打ち上げかたがた、今晩、食事に行かないか」

「はい」
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