出逢いがしらに恋をして
 オフィスに向かうエレベーター。  

 乗ったのはわたしたちだけ。

 はじめて、宮沢さんと会った高層階直通エレベーター。

 40階までノンストップ。

「ひより」

 呼ばれて見上げたわたしの目に映ったのは、熱を帯びた彼の眼差し。

 それから、彼は腰をかがめ、わたしの唇に軽く触れた。

 ここで、この人とキスすることになるなんて。

 1カ月前には、夢にも思わなかった。
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