レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「おいおい。こないだ言ってたことと,ずいぶん違わねえか?」
数日前,「想いを伝えるなら,はっきり伝えてほしい」と言っていたのはどこの誰だったろうか?――とデニスが問えば。
「あれはデニス,あなたに向けて言った言葉よ」
「……へ?オレ?」
デニスはキョトンとする。
「あなたのわたしへの想いは,さりげない仕草とか態度で何となく分かってたわ。でも,直接的な態度で伝えてくれたことがなかったから,わたしも自信がなかったの」
「オレの気持ち,バレバレだったんだな」
デニスは頬をポリポリ掻いた。とはいえ,ちゃんと想いは伝わり,今はこうして両想いになっているのだからまあ,それでよかったのかもしれない。
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