レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
側仕(そばづか)えの侍女に気兼ねしなくて済むのならば,デニスとの逢瀬もずいぶんと楽になる。
ただ,一つだけ問題が……。
彼女(エマ)は,口が軽いのだ。デニスだって,そのことを知らないわけではないので。
「でも,話しちまってよかったのか?もし城中の噂になって,それが陛下の耳に入ったりしたら……」
もっともな心配を口にした。
「それも大丈夫。『くれぐれも,お父さまのお耳には入れないように』って,釘を刺しておいたから」
「……あっそ」
いくら噂好きの女官達でも,皇女の命令に逆らうことはないだろう。……多分。

****

――こうして,二人は毎晩,四阿での逢瀬を重ねた。
< 130 / 268 >

この作品をシェア

pagetop