レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
操られる,とは。もしや,先ほどリディアが懸念(けねん)していたことは,当たっているのだろうか。
「我が国は表向き,両親亡き後は私が治めていることになっていますが,実際に政治を執り仕切っているのは伯父です。私はいわば,伯父の操り人形なのです。情けない話ではありますが」
カルロスは(あざけ)るように,肩をすくめた。
「でも,私がリディア様に恋をしたのは決して打算ではありません。伯父に唆されたからでもありません。私はただ,一目あなたにお目にかかりたかった。ただそれだけなんです。信じて頂けますか?」
カルロスは,リディアの目を真っすぐ見ている。それは嘘をついている人間の目とはとても思えなかった。
< 156 / 268 >

この作品をシェア

pagetop