レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「カルロス様……」
リディアには,彼のこの言葉が強がりなどではなく,本心から言っているのだと確信できた。なぜなら,その顔には安堵したような笑みが浮かんでいたから。
「リディア様,どうかデニスどのと末永(すえなが)くお幸せに」
「ええ。ありがとうございます」
リディアは何だかデニスとの仲が,父にすんなり認められそうな気がしてきた。
いつの間にやら,西の空では日が傾き始めている。そんなに長い時間,この四阿にいたのか,と三人は改めて驚いた。
「さて,カルロス様。次はどちらをご案内致しましょうか……」
三人はこうして,四阿を後にした。来た時にはデニスの中にあったカルロスへの不信感や敵対心も,この時にはすっかり消え()せていたのだった。
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