レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「この分のお礼は,今月分の給金に上乗せしておくわね」
「いえ,姫様!お礼を頂く気はありません、――で,俺はどこで合流しましょう?」
「そうねえ……,厩舎の前でいいんじゃないかしら」
「了解しました」と言って、ジョンは一旦宿舎に引き上げていった。彼はこれからまた仮眠をとり,朝食を済ませなければならない。
それにしても,こんなに早い時間から呼び出しても機嫌を損ねないジョンは,人間ができているなあとリディアも感心せずにはいられない。
「ふぁ~あ……」
まだ日も昇っていない。思いっきり早起きをしたリディアは,あまり上品とはいえないけれど,大欠伸をした。
「眠そうでいらっしゃいますね,姫様」
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