レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
――自分は果たして,デニスとそうなりたいと思っているのだろうか?もちろん,彼のことは愛しているけれど……。
婚約を公にしてからなら,そうなっても構わない。でも,今はまだ早い。まだ当面は,このままでいい。
「――ところでリディアよ。カルロス王子は今日,シェスタへ行くと言っていたな」
「ええ。もう()たれる頃だと思いますわ。案内役として,ジョンに同行するよう頼みましたけれど」
「ジョンに?」
リディアの人選に,父は目を瞠った。
「はい。表向きは案内役ですが,密かに王子をお守りするように,と。あの方に何かあっては,スラバットの国民が困りますもの」
そう言って,リディアはコンソメスープをスプーンで一口すくい,口に運ぶ。
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