レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「ええ?剣術と体術って,なんでまた」
姫にそんなものが必要なのか,と彼は首を(かし)げた。
「だって,わたしは将来皇帝になるのよ。(たみ)を守るのが皇帝の(つと)めでしょう?だったら,まずは自分の身を守る(すべ)を身につけなきゃ,でしょ!」
リディアの真摯(しんし)眼差(まなざ)しと,その熱意に負けたデニスは,「分かった」と(うなず)く。
「お前がそこまで言うなら……。ただし,姫様相手(あいて)だからって,手加減(かげん)一切(いっさい)しないからな。覚悟しとけよ」
「もちろんよ!女に二言(にごん)はありません」
リディアは彼を()っすぐ見据(みす)えたまま,力強く頷いた。
――こうして,デニスを師匠(ししょう)に迎えての,皇女リディアの剣術・武術の特訓の日々が始まった。
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