レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
安心して力の抜けたリディアの手から,カランと音を立てて剣が滑り落ちた。
――そして……。
「陛下,姫様!不審な男を発見し,捕えました!」
一人の兵士が,町外れの木陰(こかげ)から縄で縛った黒装束の男を連行してきた。その男の服装は、ジョンがシェスタで捕えてきた男のものと瓜二(うりふた)つだ。
捕縛(ほばく)された二人の刺客を見て,サルディーノはがっくり項垂(うなだ)れる。彼はそこで,自分が皇帝父娘に嵌められたと悟ったのだろう。
だが,そこでリディアの記憶は途切れた。
――ドサッ!
彼女は()きものが落ちたように,意識を失いその場に倒れ込んだのだ――。

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あれからどれだけの時間,意識を失っていたのだろう?リディアは,額に何か冷たいものが触れる感覚で意識を取り戻した。
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