レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
終 焉《エピローグ》
――初夏の陽気の中,レーセル城に隣接する大聖堂にてリディア新皇帝の戴冠式,(およ)び彼女と新近衛軍団長デニスとの婚礼の儀式が(おごそ)かに執り行われた。
大司教(だいしきょう)より金色の冠を戴いたリディアは白地の絹に金色の刺しゅうが施されたドレスを身にまとい,深紅のマントを羽織り,頭には白のヴェールを(かぶ)っている。
このドレスは元々,彼女の亡き母マリアン皇后が父の元に嫁いできた時の婚礼衣装だったものだ。それを式典前夜,侍女のエマがリディアの体型に合わせて仕立て直してくれたのだった。
祭壇(さいだん)の前で愛を誓った若き皇帝夫婦が大聖堂から出てくると,二人はたちまち歓声に包まれた。
「リディア陛下,万歳(ばんざい)!デニス様,万歳!」
「どうぞお幸せに!」
「この国の将来を頼みます!」
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