夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「貴女、子供がいるのでしょうっ?その子と暮らす為にッ……その為に、兄から逃れたいと思ったのではないのっ?」
兄の能力、spellbindに縛られていた彼女が、その窮屈な生活の中で希望にしていた子供。
幼い頃、何一つヴァロンにしてやれなかった自分に彼女を重ね、子供と幸せに暮らして欲しいと願った。
けれど。ディアスは顔を上げると、初めて私に微笑みながら答えた。
「あの子は……。シオンはもう、しっかりと自分の人生を見付けました。
夢の配達人の隠れ家、ミライ様と出逢えて、「夢の配達人になりたい」と真っ直ぐに飛び立って行きました」
それは、私が久々に会ったヴァロンに感じた気持ちと同じで……。その嬉しそうな、何処か寂しそうな笑顔に、彼女の気持ちが私には痛い程分かって、視野が滲む。
親の役目は、子供が自らの人生を見付けるまで1番側に居てやり。そして、自らの人生を歩み始めた子供を、1番遠くから見守ってやるものなのだ。