夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「私があの子にしてやれる事は、もうありません。
……ですが。あのお方に出来る事は、まだあると思うのです」

ディアスはそう言うと、カーペットの上に寝かされた兄の亡骸に目を向けた。

「あの方は気難しくていらっしゃいますから、あの世でもきっと1人では大変でしょう。
だから、最期まで……共に在りたいのです」

「!……貴女、……」

兄の亡骸を見つめる彼女の瞳は、とても優しくて綺麗だった。
その瞳に、そんな眼差しを向けてもらえる相手がいる兄の事が、私は堪らなく羨ましくなる。

「……。分かったわ」

そう答える以上の言葉はなかった。

私は床に散らばっていた髪留めのビーズを数個拾い、掌に乗せて握り締めた。ヴァロンが最後の日に私に用意してくれていた、クリスマスプレゼント。
ずっとずっと、お守りにしてきた。


「今までありがとう。
……ヴァロン、愛しているわ」

私が貴方にあげられる物は何もないけど、1番遠くから……ずっと貴方を見守っているからね。

……
……、……。

【本日で2020年最後の更新となります!皆様、ありがとうございました!良いお年を!!(o^^o)
そして次回はお正月真っ只中ですが、休まず金曜に更新致しますのでどうぞ来年もよろしくお願いします!m(_ _)m
果たしてヴァロンとアカリは再び巡り逢う事が出来るのか……?!そして……。
ぜひぜひ、お楽しみ下さいませ(o^^o)☆リサーナ☆】
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