夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
【ヴァロンside】

シュウからの言葉に、思わず素に戻りかけた。
思いがけなかった提案に、どういう意味か?と混乱する俺にシュウが言葉を続ける。

「私と、もう一度友達になって下さい」

「……」

「私は、嫌なんです」

「……」

「君と他人行儀なの。以前(まえ)のようになりたいんです。
……駄目、ですか?」

「っ……」

それ、は以前、俺がシュウに言った言葉とよく似ていた。

『俺は嫌なんだよ。
お前とこう、なんかモヤモヤしてんの。
いつもみたいに、いたいんだよ……ずっと。
……。それじゃ、駄目なのか?』

喧嘩した後、俺がシュウに言った仲直りの言葉。

シュウ。お前、気付いてるんだな?
今の俺の事を知ってて、理解してて、黙ってて……。
「ごめん」の言葉を言えない俺に、"もういいよ"って、言ってくれてんのか?
俺の事、許してくれんのか?

心の中で問い掛ければ、ゆっくりと近付いてきたシュウが、微笑って俺を抱き締めた。
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