夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

大切な人ーー。

俺にとって大切な人は、一人じゃない。
大切じゃないものなんて、何一つないんだ。


「……うっそ!桜が咲いてる!!」

「あ、本当だぁ〜。綺麗ですね〜!」

その声に視線を向けると、モニカ様やユイ……。今日招いたみんなが続々と中庭に集まってきた。
桜の花吹雪に包まれて、みんな幸せそうに微笑っている。

大好きな人達と、笑顔でずっと一緒に居たい。

ーーああ、そっか。
俺の夢も、ようやく叶ったんだな。

その光景を見て、俺はとても幸せな気持ちなった。
そして……、……。


「……思った通りだ。
やっぱり、良く似合ってるな。白無垢(それ)

「っ〜〜……」

みんなの陰に隠れるようにしている彼女に声を掛けると、頬を桃色に染めてモジモジしながら俺に歩み寄ってくる。
いつまで経っても少女のようで、可愛くて、愛おしい、俺の運命の女性。

「ほら、早く来いよ。
一緒にお花見するんだろ?」

「!……っ、うん!」

俺が左手を差し出すと、嬉しそうに涙ぐみながら頷いて、その手を取ってくれた。
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