夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

『その女の子の表情を見てお前がどう感じるか……。そこに答えがあるぜ』

……。

夢の中にオレが出て来ているのか、女の寝顔はとても幸せそうに映った。
そして、その寝顔を見てきゅぅっと締め付けられる胸が伝えてくる。

これが、愛おしいという感情なのだとーー。

……
…………この夜。
オレは、自分の想いをようやく素直に認めた。
普通ならば、これでめでたしめでたし、となるのだろう。

だが、初めての感情に戸惑い、ましてやこれまでずっと"オレ様"をしてきたオレが急に変わる事など出来る筈もなく……。
けれど、女に対してこれまで通り、とも出来ず……。
翌日からオレが出来たのは恥ずかしさを隠す為に女を避け、冷静な態度を装うしか無かった。
それが女を傷付け、苦しめてしまうとも知らずに……、……。

何よりオレは自信がなかった。
心に焼き付いている女の幸せそうな家族写真ーー。
女にとっての当たり前が、オレにとっては違って、あんな"家族になる"自信がなかった。


そんなオレに気付いて、目の前にある幸せを逃さないように叱ってくれるのは……、……。
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