夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

(4)アランside

***

「ーーおい!これ、どういう事なんだよっ!!」

女への想いを自覚してから1週間後の朝。
オレの社長室で待機していて、出社した早々に週刊誌片手に詰め寄ってきたのは兄上。

確か、今日は会う約束はしていなかった筈ーー。

珍しく不機嫌そうな兄上の様子に、オレが「はい?」と首を傾げると、週刊誌の開いたページを顔面に突き付けられる。
何事かと、全く訳が分からずそのページを見ると…………。

『ついにあの人が結婚?!』
『婚約指輪を購入する姿を目撃!お相手は先月お見合いをした社長令嬢か?!』

そんな見出しと共にページに貼られていたのは、この間の出張の際に宝石店で店主に婚約指輪を見せられた時の写真と、先月どうしても断れなくて一緒に食事をした社長令嬢とのツーショット写真。

何だこれはーーッ?!

心の中で叫びながらも驚きと動揺から言葉にならなかったオレに、更に兄上が詰め寄ってくる。

「お前、スズカの事が好きなんじゃないのか?あの子とは遊びなのかよっ?」

「!っ……そ、それは……」

「"それは"?何だよ。
もし遊びで手ぇ出したんなら、俺はお前を弟だろうと許さねぇからな!」

「っ、……」

この記事は全くのデマだーー。

そう否定したい。
けど、かと言って"あの女と真面目に付き合うのか?"と問われたらハッキリ返事も出来なくて……、……。

……ーーん?
ちょっと、待てよ。兄上、今……、っ……。
< 315 / 338 >

この作品をシェア

pagetop