夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「ついでにお前の両親にご挨拶を済ませてこよう」

「!っ……え?」

「いいだろう?」

「っ〜〜……父も母も、心臓発作で死んでしまうかも知れませんっ」

「それは困る。
オレの両親の分も祝福してもらって、これからオレ達がたくさん親孝行していくんだからな」

「!っ……アラン様ッ」

涙でぐしゃぐしゃだった視野を指で拭ったスズカが、オレを見上げてようやく微笑った。
その笑顔はとても綺麗で、オレがかつて遠いと感じた、家族と幸せそうに写真に映る、あの瞬間の彼女と同じだった。

そう思えたオレも今、あの写真の家族と同じ表情(かお)で微笑えているんだろうかーー?

その答えは、邸を一緒に出て行くオレ達を見送るエルナや使用人達の雰囲気。
そして。外で待機していたジュゼが、オレとスズカの仲睦まじい様子を見て涙を流しながら微笑み、車の扉を開けてくれる様子が物語っていた。

番外編アラン物語-終わり-
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