夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「兄上!」
「!……アラン」
背中を見付けてすぐさま声を掛けると、兄上は足を止めて振り返ってくれる。
でも、その表情は穏やかに微笑っているようなのに、どこか寂しそうで……。私は思わずこう言った。
「っ……大丈夫、ですか?」
「えっ?」
その質問に兄上が呆気に取られた表情をする。
何故こんな事を言ってしまったのだろう?
私はハッとして、すぐに言葉を続けた。
「!……あ、いえ。お疲れのように見えたので……」
「そ、そうかな?
心配してくれてありがとう、大丈夫だよ」
慌てる私にそう返して、兄上はまた微笑った。
そして……。
「アラン、アカリさんとの事。本当におめでとう。
二人が一緒になってくれるなら安心だし、すごく嬉しいよ」
私とアカリ様の事を祝福する言葉をくれた。
その言葉は上部だけではなく、兄上が本心から言ってくれていると感じ取れるのに……。私は素直に喜ぶ事が出来なかった。