夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「マオ様、お車の準備が出来ました」
「!……ディアス、ありがとう。
じゃあ、アラン。またね」
「っ……!」
"何か"を思い出すーー。
ディアスに呼ばれた兄上が私の肩を叩いて去って行った時、私はハッキリと思い出した。
それは、私が自分の父リオンを最期に見た光景。
シャルマ様の手によって父が消された、少し前の感じと……とてもよく、似ていたのだ。
「……まさか。
っ……きっと、気のせいだ」
シャルマ様の目的がミネア嬢の会社をこちらに引き込む為ならば、兄上を手に掛ける筈はない。
胸に響くドクンドクンッという鼓動を落ち着かせるように、私は自分に言い聞かせた。
しかし……。
その頃、1人食卓に座るシャルマ様は今日の食事のメインディッシュである鳥の丸焼きにナイフを突き立ててこう呟いていた。
「大人しく言う事を聞いておればいいものを、父親に似て私に逆らいおって……。
ーーいや。さすが、卑しいあの女の息子だな」
自分の思い通りにならないなら、消すーー。
「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」
運命の神が告げていた。
この物語は、確実にクライマックスに向かっているのだと……。