諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「間抜けな顔で歩くな。俺まで変なやつだと思われるだろ」

「だって、本当に楽しみにしていたんです。四十三回目のデートも楽しみましょうね」

 私が告げると、理人さんの足がその場にピタリと止まった。

「……おい。数えるなって前にも言っただろ」

「だって、理人さんとの思い出は細かいことまで全部覚えておきたいんです」

「次変な発言したら帰るからな」

 突き放すような口調で言う理人さんは、私を置いて先々と行ってしまう。

「ちょっと、待ってくださいよ」

 私はその大きな背中を慌てて追いかけた。すぐに追いついて、再びぴったりと隣をキープする。
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