諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「こちらこそ、よろしくお願いいたします……」

 高鳴りと戸惑いで鼓動がうるさい。こんな感情になるのは初めてだ。

 ……私、いつかこの人の奥さんになるんだよね。

 改めて噛み締めると、心の底から歓喜が湧き出てくる。先ほどまで憂鬱な気分だった私は、現金にも自分の運命に感謝していた。

 こんなに素敵な人と結婚できるなんて。

 嫌いだった毎日のようにあるお稽古事や、厳しかったお作法などの教育をやってきた日々がすべて報われた心持ちになった。

 なんの役に経つのだろうと逃げ出したいときもあったが、頑張ってきてよかったと今になっては心から思う。
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