諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「おい、触るな」

 凄みのある声がしたと同時に、私は背後から腕を引かれた。バランスを崩しながらも、うしろにいたなにかに受け止められる。

 この声は……。

 触れる温かな感触を辿るように見上げた。

 まさかの光景に、胸がどきりと音を立てる。

「理人さん……」

 私の肩を抱き留めていた理人さんは、無表情ながらもその目は怒りに凍っていた。あまりの迫力に、男性が慄然として唾を呑んでいるのが見える。

 来てくれたんだ……。

 緩やかな感動が噴き上げる。

「誰だ、お前。こいつになにしてる」

「婚約者と来てるって本当だったんだ。お兄さんも、そんなマジな顔しないでよ。ちょっとからかっただけじゃん」

 ヘラヘラと焦り出す男性に、理人さんの眼光はさらに鋭くなる。
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