諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「今すぐ失せろ」

 理人さんがそう吐き捨てると、男性は「チッ」と舌打ちをしつつも背中を丸めて逃げていく。ようやく緊張が解けた私は、身体中の力が抜けていくような安心感に包まれた。

「ったく、お前は。遅いと思ったらこれか」

「ごめんなさい……」

 体調が悪い理人さんに助けてもらってしまった。

 私は、情けなく伏し目になる。

 すると、手からジュースがひとつ取り上げられる。私が「あっ」と目で追うと、仏頂面の理人さんがこちらを見つめていた。

「面倒だ。今日は俺から離れるな」

 そう言った理人さんが、空いている私の右手を取って歩き出す。

 一瞬、なにが起こったのかわからなかった。
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