諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「……言いたくないです」

「どうして」

 こちらにやって来た彼が、私を見下ろした。私は伏し目がちになり、躊躇(ちゅうちょ)しながら告げる。

「凄く面倒臭いことだから」

「お前が面倒臭いなんて今に始まったことじゃない」

「でも……」

「静菜」

 理人さんが、柔らかな声で私を(いさ)めた。

 普段は滅多に名前で呼ばないのに。こんなときだけズルい。

 唇を尖らせた私は、小さく深呼吸をしてからおもむろに口を開いた。
< 99 / 199 >

この作品をシェア

pagetop