LOVE or DEATH 愛し愛されデスゲーム
「上野さん、俺を好きになってくれないか」


 その言葉に「はい」と答えていたら、私は今ごろ二階堂さんと笑いあえていたのかな。


 こんな狂ったゲームから解放されて、はじめは偽りの愛でもいつか本物になるかもしれない。結婚して、子供を産んで、普通の人生を送っていたのかな……。


「おい、大丈夫か」


「……あっ、ごめん。ぼーっとしてた」


「それならいいけど」


 私は今、九条くんと一緒に家事当番で朝ごはんの片付けをしている。ただのお皿洗いとはいえ、7人分となるとかなりの量だ。


 昨日までは、ここにもう1人分あったのに……。


 だめだめ、気を抜くとどうしても二階堂さんのことを考えてしまう。今はお皿洗いに集中しないと。


 と、


「上野様、九条様おはようございます」


 ああやっぱりだめだ。この声を聞くと、嫌でも思い出してしまう。


 真っ赤に染まった部屋で生き絶えた二階堂さん。最後まで生きようともがいていた二階堂さん。こんな情けない私のことを好きでいてくれた二階堂さん……。


「てめ……っ、どんな顔して俺らに話しかけてきてんだよ!」


「どんな顔? 私はいつでもイケメンでございますが……」


 本気なのか冗談なのかわからないけど、今日の声はやたら煽りスキルが高い。


「本日は、お二人にお話があって声をかけさせていただきました。


 おめでとうございます! 視聴者様の投票により、お二人がイベントの参加者に選ばれました!」
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