嘘恋のち真実愛
「いえ、何でもないです。楽しみです」


心と裏腹の気持ちを伝える。完全なる裏腹ではないが。


「ゆりかが新婚旅行に行きたいと言うきれいな海がある場所と考えて、沖縄にしようかとも思ったんだけど、それは新婚旅行のために取っておくべきだと思い直してね」

「新婚旅行……あー、私がいつか結婚するときのためにですか。全然予定もないし、結婚できるかどうかもわからないですけど、新婚旅行には海のきれいなところに行きますね」

「それ、俺とじゃダメ?」

「はい? 部長と?」


なぜダメと聞くのか?
今、いつになるかはわからなくても私の新婚旅行を思って、海はやめたと言っていたよね?

しかし、彼は私の疑問と違う部分を気にした。


「今日は休日なんだから、部長と呼ぶの禁止ね」

「あ……でも」

「せっかくの休日なのに、仕事の気分になる」

「確かに……わかりました。この旅行中は、征巳さんと呼ばせていただきます」


仕事から解放されたい気持ちは、理解できる。私も仕事を連想させる呼び方はしたくない。
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