嘘恋のち真実愛
北海道の夏は涼しいイメージがあるけれど、意外にも暑い……。


「暑いですね」

「うん、こっちも昼間は暑いよな。でも、朝晩は涼しいと思うよ」

「そうですね。たまに吹く風が気持ちいいですものね」

「暑くても、ゆりかが笑顔でいてくれるなら良かった。実はちょっと不安だったんだよ」


征巳さんから不安という単語が出てくるとは、驚きだ。

彼は、いつでも自信がある人だと思っていた。なにを不安に思ったのだろう。訊いてみると、苦笑しながら答えを言う。


「ゆりかに喜んでもらえるよう計画したけど、楽しんでもらえなかったらどうしようかと不安になったんだよ。これでも……」

「これでもって……。今のところ、楽しんでますよ」


彼の不安を取り除くよう、私は笑顔で返した。そんな私を見た彼は、なぜか焦るように顔をそらす。

なに?
まともに見れないほどの変な顔だった?


「征巳さん」


心配になった私は、征巳さんを呼んだ。彼は、どうしてだか怯えるように肩を揺らした。

またしても予想もしない態度をされ、不安が増す。征巳さんは小さい声で「なに?」と答えた。本当に怯えているようだ……いったい何に?

もしやお化けとか?
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