嘘恋のち真実愛
「征巳さん、少しお散歩しましょうよ」

「ん? ああ、いいね。なかなかゆっくり外歩くこと、ないものね」


私たちは大通りから裏の小道に入って、歩いた。小道にはところどころ日陰があって、暑さが和らぐ。


途中、老夫婦とすれ違った。「こんにちは」と言われて、「こんにちは」と返す。おじいさんとおばあさんは、私たちと同じように手を繋いで歩いていた。

すれ違ってから、私たちは足を止めて、振り返る。長年寄り添って歩いてきたのだろうなと思われる老夫婦の後ろ姿。

私たちもあんなふうに……ずっと寄り添って歩いていけたらいいな。


「あのご夫婦、いいですね」

「うん、いいね」


眩しいものを見るかのように、征巳さんは目を細めた。いつも彼と同じものを見て、同じことを感じたい。

さらに歩を進めていくと、それほど大きくないけど、公園があった。そこでは、三歳くらいの男の子がお父さんとボールで遊んでいた。

のどかで、微笑ましい光景だ。私たちにもいつか子供が生まれて、征巳さんが子供と遊ぶかもしれない。

想像する未来には、限りがない。
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