嘘恋のち真実愛
「ん? どうかした?」
「市原くん、彼女出来たの?」
「うん。好きな子が出来て、告白したらオーケーもらったと喜んでたよ。あー、もうゆりかちゃんの仲間じゃないね」
「えー、そんなぁ……。いつの間に好きな子が……。それに、付き合っているなんて! えー、いいなぁ……」
市原くんはモテるけど、好きな子もいないと言っていて私とフリー仲間だねと笑っていたのに……ショックだ。
仲間がいなくなって、悲しい。
食べるスピードがダウンした私の顔を、マスターが「大丈夫?」と覗きこむ。
「市原くんはモテるから今まで彼女がいなかったのが不思議だったけど、ちょっと悲しくなった」
「もしかして市原のこと、好きだった?」
「はっ? ううん! 違う、違う! 好きだから悲しいという意味じゃなくて……その、恋人いない仲間だったから、取り残された感じで悲しいというか……」
「あー、なるほど。ゆりかちゃんも恋人が欲しいんだね。いい人、いないの? ほら、会社にとか」
会社……。
私芦田(あしだ)ゆりかは、玩具メーカー『トゴタン株式会社』に勤務している。女性よりも男性のほうが多い職場ではあるけれど……いい人か……。
「市原くん、彼女出来たの?」
「うん。好きな子が出来て、告白したらオーケーもらったと喜んでたよ。あー、もうゆりかちゃんの仲間じゃないね」
「えー、そんなぁ……。いつの間に好きな子が……。それに、付き合っているなんて! えー、いいなぁ……」
市原くんはモテるけど、好きな子もいないと言っていて私とフリー仲間だねと笑っていたのに……ショックだ。
仲間がいなくなって、悲しい。
食べるスピードがダウンした私の顔を、マスターが「大丈夫?」と覗きこむ。
「市原くんはモテるから今まで彼女がいなかったのが不思議だったけど、ちょっと悲しくなった」
「もしかして市原のこと、好きだった?」
「はっ? ううん! 違う、違う! 好きだから悲しいという意味じゃなくて……その、恋人いない仲間だったから、取り残された感じで悲しいというか……」
「あー、なるほど。ゆりかちゃんも恋人が欲しいんだね。いい人、いないの? ほら、会社にとか」
会社……。
私芦田(あしだ)ゆりかは、玩具メーカー『トゴタン株式会社』に勤務している。女性よりも男性のほうが多い職場ではあるけれど……いい人か……。