凌玖先輩から逃れられない
「沙耶はどこまでも純粋で可愛いからな。お前が好きで泣かせたくなるのも理解できる」
「……!」
それって茂田くんがわたしのこと好きってこと……?
まさかそんなこと……。しかし、茂田くんは黙ったままで否定しなかった。
「確かに沙耶は要領があまり良くないが、できるまで必死に頑張れる」
……もしかしてテストの時?
先輩に勉強教わっても、すぐに習得できなくて、だけどそれでも根気強く丁寧に教えてくれた。
「釣り合う釣り合わないは関係ないと思うが……どうしても気にするというのであればとことん付き合って、その努力を褒めたい」
先輩はどれだけ素敵な人なんだ。
とまらない涙を先輩は慈しむ眼差しを向けて、指で拭ってくれる。
「だけど安心しろ。沙耶が不安に思う余裕がないくらいみっちり愛してやる」
耳元で甘く囁かれて腰が砕けそうになる。