凌玖先輩から逃れられない
「先輩……んっ」
顔じゅうにキスの雨が降ってきて、最後は唇に。
「……甘いな」
囁くような呟きに言葉が出ない隙に、またひとつ深く重なり合う。
初めてのキスでついていくのに精一杯で、キスの雨が止んだ頃には息切れしていた。
「……凌玖、先輩……」
これがキスなんだ……。
くせになるような口づけをもう一度してもらいたくて、請うように見つめる。
「……俺は、試されてるのか……?」
先輩はバッと横を向いて口に手の甲を当てて、ボソッと呟く。
うまく聞き取れなかったわたしは先輩に聞き返そうとしたその瞬間。
「え……?ひゃ」
手を引かれ、気づいた時にはソファで先輩に組み敷かれていて、首筋にキスをされる。
「……先輩?」
全然慣れていないわたしはもう限界で、やめてほしいと目線で訴える。
いつもと雰囲気が違う気がして、わたしは不安になる。