凌玖先輩から逃れられない
「……ここは、俺と沙耶しかいない。それに隔離されてる場所だから、人があまり来ない。
どういうことか、わかるか?」
「でもっ、先輩みたいな人がそんなことするわけ……」
マンガで読んだから先輩の言いたいことはわかった。
だけど、先輩は完璧で理性的な人でそんなことするわけない。
「へえ、俺をどんな男だと思っているんだ?」
先輩は挑発的に口元に弧を描いて問いかける。
えっと……どんな人かって言われたら
「マンガに出てくるような、優しくて紳士で、王子様みたいで……わたしなんかと話しているのが不思議なくらいで……」
とにかく、こうして一緒にいるのが夢なんじゃないかって思えるくらい住む世界が違うような人なのだ。
綺麗な青みがかった黒の瞳に見つめられて、いたたまれない気持ちになる。