インスピレーションを信じて

「それで。俊樹とは その後 どうなったの。」

片付けが 一段落して。

食事をしながら 私は聞く。


「どうにもなってないわ。」

悠香は 少し寂しそうに 答える。


「もう。悠香 何をグズグズしてるの。もう一度 会えたなんて 最高のチャンスじゃない。それなのに 何もしないなんて。神様に 叱られるよ。」

私なら 絶対に 告白するのに。

臆病な悠香が 歯がゆくて。


「だって。会社なのよ。どうにもならないわ。」

悠香は 頬を膨らませる。


私は クスッと笑って

「思い切って ” あの時は どうも " って言うのよ。すれ違いざまに。」

と言う。

悠香は 大きな目を 見開いて

「そんなこと 言えないよ。」

と答えた。


うん。まあ 私でも 言えないか。


「私だって 務に会いたいんだよ。会えただけでも 悠香が 羨ましいよ。」

私は 珍しく 素直な気持ちを 言ってしまう。


悠香だから。


安心して。



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