俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
薫の様子を見ると…やはり、戸惑っている。
不信そうに、なずなをチラチラと見ている。
無理もない。
お祓いをしてくれる陰陽師が、坊さんでも巫女さんでもなく。
偉そうに喋るバリバリのギャル。
…俺も最初は戸惑ったから、その気持ちはわかるよ。
「薫、座ろう」
「あ、うん」
そんな戸惑う薫に、着席を勧める。
少なからず動揺しているのか、コートを脱ぐ動きがぎこちない。
なずなに動揺…気持ちは本当にわかる。
お嬢様の薫は、『マジパリピー!』とか言うギャルとなんて接触したことないだろうな。
そんな薫を手助けするかのように、そのコートを受け取って、椅子を引いてやる。
「あ、ありがとう…」
薫のコートをハンガーに掛ける。
(…ん?)
その時、コートの袖に何かくっついているのに気が付いた。
ゴミか?
それをつまんで指に取る。
何か…緑色の、皮?
五ミリ四方の欠片だ。
まるで果物の皮みたいなもの。
何だこれ。アボカド?