俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「薫、アボカド食べた?」

「…え?何で?」

「コートにアボカドの皮くっついてる。ほら」

「え?食べてないけど…?」



薫にそれを見せようと、指を差し出す。

だが、薫がこっちをクルッと振り向いた際、その皮はフワッと飛んでどこらかに消えてしまった。



「あ、あれ?あれ?」

「あっ。ごめん…」

「いや、どこかに落ちたか?」



体を屈めて床を見回すが…緑色の皮の欠片が見当たらない。

あ、あれ?



すると、傍にはいつの間にか店員の咲哉さんがいて「ゴミならいいよ?後で掃除するから」と、言ってくれる。

「すみません…」と、立ち上がって、自分のコートも脱いでハンガーに掛けた。



だが、その時。

良からぬ視線に気付いた。



「…素敵なレディファーストですねぇ?…まつ毛のお坊っちゃま?」



振り向くと、なずながニヤニヤしながら俺を見ている。



なんだそりゃ…。

そこ、イジる?



「っつーか、まつ毛のお坊っちゃまはやめろ。何だ急に」

「いひひひ」

「何で笑う?こら!」



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