俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
いつもと調子が違うが、やんややんやとモメる俺達。
そこで、ガタン!と椅子を引く音が響く。
ハッとして振り向くと。
薫が席を立っていた。
今度は薫が冷ややかな視線をこっちに向けている。
薫…?
「…帰ります」
そう言って、コートとバッグを速やかに手に取り、俺のあげたペンギン様のぬいぐるみも忘れずに手に抱えて。
「…馬鹿馬鹿しい」とボソッと呟き、俺達を置いてテーブル席を離れる。
え、本当に帰るの?!
「か、薫!ちょっと待って!」
「おー。ゲロマドンナお帰りか」
…ゲロマドンナ?!何それ?
カフェを出る薫のその後ろ姿を、呼び止めながら追おうと飛び出すが。
なずなから「はい」と、俺のコートとカバンを渡される。
いつの間に。
しかし、迷っている暇はないので、そのコートとカバンを受け取って、後を追う。
背中の方から「お疲れ」と一言告げられた。
まずい。
薫…怒って飛び出して行ってしまった!
慌ててカフェを出ると。
ここから見えるところで、薫は一人立ち尽くしているのを見つけた。
「薫!…待って!」
走って薫のもとへと赴く。
…なずなをカフェに残して。
「…なずちゃん、やっちゃったね…お客さん帰っちゃったよ?」
「…いいんだ、それで」
「え?何で?」